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祭りの準備 Vol.8 2000.8.27
〜小さな森〜
 世間は夏休みの真っ最中。いつもにぎやかな近所の子供たちも海や山へ出掛けていった。大自然と触れ合うのは勿論素晴らしい事だけれど、身近な小さな自然を大事にして、慈しみ育てるというのも、大都会に住む者の密かな楽しみと言える。という訳で、この時期どこにも行かず(行けず?)、朝夕庭の水やりに勤しんでいる今日この頃の私。

 夏の庭は疲れている。そして、少し淋しい。春の華やかさも、秋の豊かさも無く、ただ、連日の暑さに息も絶え絶えな緑があるだけ。私が子供だった頃は、夏の緑はもっとイキイキと元気だった記憶があるから、それだけ地球の温暖化が進んで、東京の小さな自然にも影響しているのかも知れない...などと思う。

 今、私の庭に咲いている花は百日紅バーベナ白蝶草メドウセージヤマホロシすいかずら...そしてペチュニア。ここ数年、パンジーの改良が進んで、街中が夏はペチュニア、冬はパンジーに彩られるようになった。真夏や真冬に何ヶ月も元気に咲きつづけてくれる花は他にはなかなか無いので、確かに有難く、つい彼等に頼ってしまうのだけど、天邪鬼な私は、なるべくそれらではない植物を選ぶことにしている。

 昔から私は華やかな花よりも、ひっそりと咲く花、そして緑が好き。単純に緑といっても、その色や形は数え切れないほどの種類がある。タペストリーのように美しく重なりあった緑を、私は何時間も見飽きることが無い。色鮮やかな草花で隅から隅までを飾っている庭もあるけれど、自分の庭はまず鬱蒼とした緑があって、処々に代好きな白や青、紫の小さな花が咲いていれば、それが一番私らしいと思う。

 私の庭みたいに小さな緑地でも、この東京の中ではだんだん貴重なものになりつつある。いったい、いつまで持ちつづけられるか不安になったりもするけれど、出来ることなら70才になっても80才になっても、この庭の世話をしながら、共に生きて行きたいと思う。何と言っても、私の大事な、小さな「森」なのだから。